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実質1万円の三脚・・・Tiltall TE-01Sというアメリカの三脚

オールド三脚、現在も生き残るビンテージ三脚を愛する人を魅了する Tiltall TE-01S

これ、実質1万円の三脚です。
もちろんケース付です。
Tiltallは生まれも育ちもアメリカンな三脚ですが、現在はhttp://www.kinghomephoto.com/tiltall/index.htm
台湾です。
Tiltall TE-01S
Tiltall TE-01S
アルミの素材はわからない。
サイトを巡るとアメリカで作られていた頃は材質はハスキーと同じジュラルミンだったそうです。
では、三脚の生きる化石として、消えようとしているTiltall オリジナル三脚の簡単な歴史を。

Tiltall の歴史

生産は1946年。
Tiltallの前身は1800年末にまでさかのぼります。
イタリア系移民であるItalo Marcionyさんがニューヨークで手押し車でレモン味の氷を販売していた。
ここから始まります。
アイスクリーム事業は成功していたが満足できないことがあった。それはアイスクリームを入れる容器。
容器にかかるコストをどうにかできないか?
と考えて、容器も一緒に食べれるワッフルカップを開発し1903年にアイスクリームコーンとして特許をとって大成功を収めた。
Tiltallの前身はアイスクリーム屋であったということです。
そして、彼の息子がアイスクリーム屋の後継者となります。
アイスクリーム屋も軌道に乗ると、彼の息子であるシーザーとマークは自由な時間が持てるようになった。
1918年シーザーは写真に目覚め、マークは工業デザインに興味を持つようになる。
家業のアイスクリーム業での収益も限界が見えていく中、シーザーは写真を撮っているとき、三脚に不満を持つことになった。一番大きな不満はカメラを傾けることが出来ないことであった。
また、三脚はどれも比較的安定はしているが重いということも気になった。
そこで、マークとシーザーはカメラを傾けることの出来る雲台の開発に情熱を傾けた。
カメラを傾けることの出来る雲台の図面を引き、小さな機械工場にその図面を持っていき、ユニークともいえる三脚の頭を製造し始めた。
しかし、第二次世界大戦が勃発。
三脚のビジネスは一旦停止。
軍需産業が盛り上がり、その間に精密機械工場の下地を構築した。
戦後、再び三脚の開発を行う。
三脚は二つのカテゴリーに別れていた。
一つは木製の三脚。
木製の三脚は頑丈であったが乾燥したり濡れたりすると変形したり亀裂が発生したりしたので金属製の三脚の設計に取組み始めた。
そして1946年苦労をかさねて最初の金属製の三脚であるTiltallの生産を開始した。
1946年から1973年までTiltall三脚はこの二人の兄弟が厳しく品質管理を行った。全ての製品には兄弟が検査した検査証が添付されていた。
このすばらしい三脚は不況の時でさえ注文が殺到し、生産が追いつかないときもあった。
そして、1973年ライツ(カメラメーカーのライカ35mmの創創者として、顕微鏡の立役者として科学、カメラ業界から賞賛された人物)から自社とTiltall三脚の取引を打診されることになった。
マークとシーザーは高いライツの評判を知っていて、自分たちの伝統を守り続けるのはライツこそ優れたパートナーであると判断。
こうしてライツとの提携が始まった。
Tiltallとライツの三脚は世界中のカメラマンが愛用し、賛辞の言葉が送られた。
ということです。
僕が手にしているのはその当時の三脚ではありませんが、この前時代的な三脚も今の三脚から比べると珍しいが、ただ、それだけなのでいずれ生産されなくなるかもしれません。
当時のTiltallはポリッシュ仕上げでしたが、現在のは手入が悪いと白濁しそうな感じがします。
生産の拠点が海外に移って合理化やコストダウンから機能美から美が取られてしまうことはよくあります。
で、この三脚は一万円です。それで売って利益がでるのです。
例えば、純アルミの一円玉は1gです。
この三脚は2835gありました。ということは一円玉を溶かしてこの三脚を作ったとしても2835円かかります。
作りはどうなのかというと、このモデルは色を乗せてない銀色ですので素材そのものの質感です。
取り外せない雲台は動きはスムーズ。
レバーでシッカリ止まります。レバーも削り出しのような感じのものです。
違うかもしれません。
安物に多いプラスチック部品はありません。レバーの取手でさえアルミ製です。
なんで、こんなに安いの?
売れば売るほど赤字ではないのか?
色々な憶測はありますが、まあ、考えてもわかりません。
センターポールは緩めて引き上げるタイプ。
少しガタ付きありますが、締め込めばガタなどありません。

で、Tiltall三脚の詳細(実測)

重さ:2835g
雲台径:73.5mm
パイプ径
1段:32mm
2段:25.4mm
3段:19mm
脚を広げた時の辺の長さ(芯-芯)
1段:510mm
2段:835mm
3段:1175mm
エレベーター長:333mm
エレベーター径:32mm
エレベーター伸ばさない地上高
1段:約697mm
2段:約1085mm
3段:約1490mm
この、動きが分かりやすい雲台は外すことが出来ませんが、これだけでも一万円しそうです。
このシリーズは色は三色あって、黒、銀色、金色です。
ちょっと前までは銀色の三脚は珍しくなかったようです。
銀色は映り込みがあるということで黒が一般的になったそうですが、なんで銀色にしたのかというと、プライマー吹いて色塗ろうと思ったからです。
Tiltall TE-01S
Tiltall TE-01S
Tiltall TE-01S
Tiltall TE-01S
Tiltall TE-01S
Tiltall TE-01S
脚には石突きがあります。
Tiltall TE-01S
センターポール下部にはローアングル撮影用の細ネジがあります。
Tiltall TE-01S
2段伸ばし。
Tiltall TE-01S
3段でアイポイント。
でも、3段目の脚が極端に細いのでしなります。
Tiltall TE-01S
3段まで伸ばしてセンターポール伸ばすとアイポイント超えます。
Tiltall TE-01S
で、雲台に先日買ったWimberley C-12を取り付けてみた。
このクイックシュークランプは三脚本体より高価です。
Tiltall TE-01S
Tiltall TE-01S
Tiltall TE-01S
Tiltall TE-01S
同じグレードのハスキーと並べてみた。
HUSKY Tripod ハスキー三脚
ハスキー三脚と比べると値段の差は歴然とあります。
脚の動きに重厚感がないです。
ハスキーは滑らかなフリクション
Tiltallはシャリシャリというフリクション
使っていくうちに慣らされるのかな?
重さはほぼ変わらないのですが、脚の剛性は明らかにハスキーの方が上で動きも上質です。
例えば、機械製作で一万円の物作りの差は体感として、回転においてはベアリングの有無の差よりとても小さいものです。
ネジ切りの精度を上げた。この程度です。
しかし、その程度の差を組み合わせていくと大きな差につながります。
今のTiltall三脚を創設者であるマークとシーザーが見るとどう感じるであろうか?
でも、一万円ですから許します。
これで三脚の悩みは無くなりました。