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韓国映画 うつせみ を見る

韓国映画 うつせみ

半ネタバレの感想
韓国映画、ドラマも韓ドラブームと言われて久しいですが、すでに定着した感があります。映画もなかなかのものなんです。
キム・ギドク監督の映画は女性をいじめる映画のように思うのですが、最近、台詞が多い「サマリア」さらに台詞の多い「絶対の愛」などありまして、その中で台詞のほとんどない「うつせみ」を。
「うつせみ」という映画、監督のキム・ギドクもお気に入りなのか「絶対の愛」の中でキャプチャー編集しているパソコンのモニターに映っていたりします。

ストーリーはこれまた不思議なストーリーですが、見るにつれてなんかあり得てよい現実感を覚えてしまいます。
高級オートバイに乗った青年テソク(ジェヒ)が留守宅に忍び込んでそこで壊れた器具などを修理しながら転々と生活していくうちに、愛していない旦那からの異常な束縛の中で死んだような生活をする女性ソナ(イ・スンヨン)と知り合って駆け落ちするも、警察に捕まって引き離されてしまいます。

牢獄で自己の存在を消し去る術を身につけて、再びソナと旦那の住む家に戻り、現世(旦那)から存在を消しつつソナと共存していくというストーリーです。

この青年が獄中で得た存在を消し去る術は都合のいいことにソナ以外の人間には見えないのです。こういう手段を用いないとお互い幸せになれない現実があって、現実の前にはもはや非現実的な空想かマジックしか通じないと言うことなんです。

それにしても空蝉(うつせみ)という題、これはよくつけたものだと思います。原題は「空き家」です。「うつせみ」という題のほうがこの映画の内容を一言で表しているように思います。
源氏物語の空蝉の話や、万葉集の空蝉の意味。この邦題は誰がつけたのでしょうか?
キム・ギドク監督はこの映画でヴェネチア国際映画祭最優秀監督賞を受賞しています。
この映画は夢で見たような、おぼろげなあくまでも空想の世界です。
でも、だれもが一度はこういう空想を抱いたことありませんでしょうか?というような映画です。

ピアノのソロが語りかけるようで、キム・ギドク作品では数少ない見終わると心地さの残る映画ですよ。