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韓国映画 渇き を見る

パク・チャヌク監督の「渇き」という映画 (ネタバレ)


原因不明、不治の病エマニュエル・ウイルス、別名「バジラの呪い」治癒のためのワクチンを開発する人体実験に志願する神父
実験の甲斐なく病気の末期を向かえ出血死する神父。
しかし、死に際に輸血を受けたのが原因で死から復活する神父。
ここから、映画が始まります。


監督のパク・チャヌクは「復讐者に憐れみを」「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」など韓国のハードボイルド系映画を代表する監督。
ハードボイルドっていってもタフな主人公が活躍する西洋の映画とは違って、一市民が復讐という目的のためにタフな主人公に扮するという映画を作っています。
オールド・ボーイ」はカンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞しています。また、日本の漫画オールドボーイ―ルーズ戦記を映画化したものです。
ハリウッドでリメイク権。いわばメジャー映画となっています。
日本の漫画がおとなりの韓国で映画化され国際的な評価を受ける。それは嬉しいことですが、日本人の誰かが監督してもパク・チャヌク監督のような映画は作れないでしょう。


「渇き」ではカンヌ国際映画祭で審査員を受賞しています。世界のパク・チャヌクとなりました。


主演のソン・ガンホは韓国を代表する名優です。シン・ハギュンとともに「復讐者に哀れみを」「JSA」で同監督のもとで共演しています。
面白いのはキム・ヘスクという女優さん。「冬のソナタ」でユジンの母親役を演じていて、いいお母さん役であったのが、この映画では意地悪な母親役を演じています。


ストーリー
別名「バジラの呪い」を治癒するワクチン開発のために自分の身をささげた神父が、バジラの呪いから解かれるには人の生き血を吸わなくてはならなくなったという話です。
血を吸うことで病状を抑えることができるということですが、それだけではなく、人間の五感が研ぎ澄まされ、超人的なパワーと、治癒力を身に付けてしまいます。
ここらあたり、ドラキュラと同じですが、鏡には自分の姿は映ります。
敬虔な神父であったソンガンホが生き血を吸うにつれて煩悩に身を任せ、人の道を外れてしまう。そのきっかけとなったキム・オクビンをも同じ境遇におとしめてしまう。
この映画で面白かったのはキム・オクビンが生き血を吸うにつれて自由奔放になっていく様です。
人を狩りするシーン。映画的にもっと見たかったと思いました。
で、罪に悔いるソン・ガンホが最後に選んだ道は・・・。

慰み者の人妻テジュ(キム・オクビン

人妻に恋心を持ってしまう神父サンヒョン(ソン・ガンホ

テジュ(キム・オクビン)を笑いものにする家族たち

人の血を吸わないとエマニュエル・ウイルスの症状が発病してしまう神父サンヒョン(ソン・ガンホ)・・。

惹かれあうテジュ(キム・オクビン)とサンヒョン(ソン・ガンホ



殺害したテジュ(キム・オクビン)の夫ガンウ(シン・ハギュン)の亡霊に苦悩する2人

吸血鬼として再び生をうけたテジュ(キム・オクビン)

人の生き血を求め

かって美しいと感じた女性が

狂ったように人を殺していく

それでもテジュ(キム・オクビン)への愛情は変わらず、サンヒョン(ソン・ガンホ)がとった手段とは・・悲しい結末でした。



で、これはどういう映画でしょうか?
キム・オクビンは今まで自分を辱めた者への復讐か。
善良な神父の煩悩との葛藤、人の生き血を吸い続けなければ自分が死んでしまう、人を助けようと思って人体実験に志願したにもかかわらず、吸血鬼になってしまった。
便利な慰みものであった人妻に身を落としてく聖職者としての神父の葛藤。
自殺は殺人では最大の罪であると人に諭していた神父が自殺志願者の死を見届けながら、自殺を幇助し、代償に血を分けてもらう。
とうとう殺人を犯し、その亡霊に恐れる吸血鬼となった神父。
キム・オクビンに入れ込むにつれて自分の意図しない方向に流されてしまう。
自分の血を吸わせてキム・オクビンを復活させ、復活したキム・オクビンがますます美しくなり怪物のような女性になってしまった。
パク・チャヌク監督が吸血鬼を題材にするあたり、アジアでは難しい素材である吸血鬼をどのように描くのか非常に興味ありました。
この映画から吸血鬼を取り除くと単なる可愛そうな人妻と神父との道に外れた恋愛から2人が身を滅ぼすまでのシリアスなサスペンス映画。
それに神父が吸血鬼になることでコミカルな部分とオカルトの部分が加わったちょっと悲しい恋愛映画になりました。
演出も脚本も練られているのでDVDで何度見ても楽しめます。セリフも意味深です。
ちょっとものたりないと思ったのは、映画の中盤の吸血鬼の能力をテジュ(キム・オクビン)に披露するシーン、吸血鬼として復活したキム・オクビンの後半のストーリーの境目が際立っていないことでしょうか。
ここらあたり、もっとハリウッド的であってもよかったかと思います。
混沌とした状態でメリハリなくスルーっとストーリーが流れていくのです。
しかし、吸血鬼になったキム・オクビンの演技に魅了される映画です。韓国の女優ってみんな綺麗ですね。