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怒濤の角松敏生

お正月は昔聴いていた音楽を聴きまくるという「お正月は昔聴いていた音楽を聴きまくる病」にかかります。
今年は角松敏生

バブルを享楽した大人達はまさに時代の申し子であった角松敏生の音楽を利用して夜な夜なきらびやかな街角で婦女子を落としまくっていたのですが、ジャズ・フュージョン大好きな少年達は角松敏生の音の一つ一つやアレンジに感動を覚えていました。
僕は将来は金髪のアメリカ人と結婚することを夢見ていた勉強に頑張る坊主頭の学生でしたので、アメリカ人とのコミュニケーションツールとしてジャズとフュージョンを聴いていて、何気なくFMで聴いた角松敏生の音楽が晴天の霹靂で、こういう日本人がいたのかという驚きのもとCDを買って聴いたのが始まりでした。
しかし、角松敏生の音楽活動凍結宣言以来ここ十数年忘れていたのですが、田村正和をTVで拝見してふと、そういえば角松敏生はどうしただろうと思って十数年ぶりにCDを引っ張り出して聴いたのですが、当時はLIVEをブルーレイなどのメディアで見る事は出来ず角松敏生の音楽が非常に神経質そうな感じもしていて山下達郎に一面かぶったりしていたのですが、音楽プロデューサーとしての才能も発揮していた実績もあって僕的には角松敏生山下達郎以上の80年代から90年代初期を代表する音楽家でありました。
角松敏生はTV出演などメデイアへの進出はほぼ皆無に等しかったため、一般的には彼の名前は知っているが実像、つまり、本人の真なる才能を多くの人に知らしめることはなかったのですが、凍結宣言以降も角松敏生の変わる事のない根強いファン、あるいは彼の才能を評価する音楽界が彼をそっとしておかなかったのです。
復帰後の実際のLIVEを映像で見ると、玄人をうならせるパフォーマンスを繰り広げているのですが、今、こうやって二枚のブルーレイで角松敏生のLIVEパフォーマンスを見ると、やはりこの人は最高のコンポーザーでありパフォーマーな音楽家であり、さらに優れた音楽ディレクターであるのを再認識した次第です。
この人はただ者ではないと。
歯をくいしばって、見ようによっては演歌歌手のようなひねりを取り入れた、または、ヒトラーの演説のように観客を説得する振り付けの歌い方、時折見せるドヤ顔、一流のミュージシャンを従えて、彼らのソロパートをちゃんと持ってくるアレンジ、曲のどれもこれもが完成度が高い、当時凄いなと思っていた以上に、今はもっと凄いと思ってしまう。
恐らく、LIVEでの観客は再アレンジされた昔のナンバーを提供されるという喜びと、コンポーザーとしての角松敏生の音楽の現場が怒濤のように押し寄せられて息をつく暇もないのではないかと思います。
たんなる時代に合った流行ではなかった、もの凄い才能がつまっていた。
それが今でも最高のパフォーマンスを提供し続ける理由なのだと二枚のブルーレイを見て思いました。
で、一枚目のブルーレイは

TOSHIKI KADOMATSU Performance 2009 “NO TURNS”


恐らく、一曲一曲が角松敏生のベストテイクといってもいい素晴らしいLIVEです。
ギラギラ少年が、踊り狂った女子達が大人になった角松サウンドです。
若かりし頃の角松サウンドもいいですが、このLIVEのまさにグルーヴィーな角松敏生、買って聴いてください。
しかもステレオ音源は96kHz/24bitのハイレゾです!

鏡の中の二人

沖縄出身のバックグランドボーカルの「ナミコ」さんとのデュオ。
LIVEで、コーラスを担当する人のソロを聴きたいと思ったことは度々ありますし、聴く事も出来るLIVEもあります。
角松敏生は音楽を組み立てるときにミュージシャンの持つイメージを大切にするといいます。
このミュージシャンはこういう演奏をする、だからこういう音楽が出来る。
R & Bのメローなナンバーです。
コーラスの「ナミコ」がどんな声を出すのだろうと期待するのですが、出てきた声が期待通り。
圧倒的な声量に、あとはこの曲を楽しむだけというのは贅沢です。

Tokyo Tower

大人のTokyo Tower
今まで聴いたTokyo Towerの中でのベストテイクです。
むしろカリスマ的なものを感じます。

ALL IS VANITY

スチールギターの名手、今剛と演奏技術ではピカイチと言われる梶原順ツインギターが聴けるのも角松敏生くらいです。
野呂一生とタッグを組んでいるドラムの江口信夫、ジャニーズ出身のベーシスト松原秀樹の演奏と続きノンストップでジャンプする

Girl In The Boxへと続きます。

角松敏生のギターソロになり「飛ばないよ」で観客と一体化しクライマックスです。
これだけの音楽を30年以上も作り上げてきたのは素晴らしいの一言。
そして、もう一枚は

TOSHIKI KADOMATSU 30th Anniversary Live 2011.6.25 YOKOHAMA ARENA


これはもう絢爛豪華です。
音源はステレオだけでなく5.1chもDTS HD のハイレゾ音源にグレードアップです。
ドラムはいきものがかりなどの人気ミュージシャンのLIVEでドラムをたたく玉田豊夢江口信夫ダブルキャスト
ホーンにはテクニック系のギタリストである梶原順と親交の深いこれまた演奏ハイテクニック系のハイパーサックスプレイヤーの本田雅人
そして、そしてトランペットに大野克夫や大野雄二とともに活躍した数原晋が。
ギターは梶原順ツインギター相手に鈴木英俊
パーカッションは斎藤ノヴと国内最高のパーカッショニストと言われる田中みちあきのタッグです。
ベースはパフォーマーな中村キタロー
コーラスはおなじみの沖縄のシンガーであるチアキとナミコ
そして、そして大儀見 元というこれこそ音楽界のハイパーマルチクリエイターが参加。
角松敏生はレコーディングのミュージシャンをLIVEに連れてくるということをポリシーにしているとMCで述べていますが、これがいかに難しいことか。
このLIVEのもう一つの目玉はキーボードが3ユニットです。
椎名林檎をはじめ多くのアーチストのレコーディングやLIVEに参加する森俊之友成好宏、そしておなじみの小林信吾
これだけの人を集める事が出来るのかと思いますが、それよりこれだけのミュージシャンをまとめ上げて音楽にした角松敏生の能力に感服いたしました。
ブルーレイはACT 1とACT 2の2枚組です。
ACT 1はR & B で渋く、あるいはソウルフルな角松敏生の世界です。
ACT 2はバラードを歌い上げたりグルーブ感満点の構成、まさに心地よいフュージョン的です。
そして

smile

もう一人のバックグランドボーカルのチアキさんとのデュオ。
チアキさんはナミコさんと違って乙女の声を持っていました。
ちゃんとコーラスのソロもアレンジするなんて、しかもこの曲は沖縄的でした。
懐深いというか、引き出し沢山あるというか、枯れる事のない才能、1960年生まれの53歳です。
サポートするミュージシャンも同年代。
あと、何回このような素晴らしいLIVEが出来るのか?
また考え込んじゃうのか、それとも限界を感じるのがいつなのか?
何も産まないと判断すると今度は本当に引退するかもしれません。
今行かないと後悔するのが角松敏生のLIVEだと思います。